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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 浜に戻っても、休むことはなかった。


 水を煮沸してから、さっそく、いかだ作りに入る。


 材料は溢れるほどある。


 後は、自分がどう出来るか、だった。


「船舶免許を持った稲本幸三さん、怒らないで、力を貸してください」


 勘違いしていた。船舶免許を持っているのと造船することは、また別だ。


 船舶免許は船を操縦するのに、必要な免許だ。


 まず、俊輔は、太い目の竹を4本使い、いかだの大きさを想定しながら、四角に組む。縦に長い竹を必要な幅の分並べ、その上に、短い竹を横向きに前と後ろにのせた。


 それをしっかり、針金とロープで固定する。


 今度は短い竹を敷き詰めるように並べ、同じように固定する。だが、一本分だけ、隙間をあけた。


 その動作は、驚くほどスムーズに進み、まるで一度作ったことがあるように見えた。


 組んだ後、それぞれの竹を引っ張ってみる。


 しっかりと組まれ、ビクともしない。


「こんだけしてりゃ、簡単にはバラけることないだろ」


 だが、スムーズに行えたとは言え、時間はかかった。



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