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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 しばらく時間が経って、俊輔は以前、ウシガエルと鯉を捕まえた溜め池に向かった。


 鯉を捕まえようと言うのだ。


 だが、溜め池は水が少なくなり、ほとんど藻に埋め尽くされている。


 そんな中に、藻の上に乗るようにして、鯉の死骸が、浮いていた。


「ここの鯉は無理か。やっぱ、海で釣りをしなきゃならんかな……」


 そうは言うが、釣竿はもうない。


 海辺の岩場に来た。


 だが、ここで捕れるものといえば、貝やカニ、身の入ってないウニだ。


「泳いでるのは見えるんだよ……捕まえられないんだよなぁ」


 針と糸はある。竿がない。しかも、糸は絡まってどうにもならない。


 結局、なにもできない。


「くそ……俺はいいけど、婆さんには魚食わしたかったなぁ……」


 浅瀬で手掴み出来そうなのはいないか?


 岩場の間を、くまなく探す。


「なにかいたらなぁ……でっかくて赤い海老でも、いないかなぁ……」


 高額という意味の大物を、岩場で探す。


 フナムシや巻き貝、小さなイソギンチャク、フジツボ、そんなのばかりが目につく。



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