テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 潮が引いた後の、岩場の窪みを見る。


 腹が膨れるようなものはいない。


 貝を集めても、小梅は食べないだろう。


 自分も、肉ばかりは飽きてきた。


 ここらで魚介類、シーフードを食べたい。


「なんか、いないかなぁ〜、手掴みで捕れる魚ぁ〜」


 自分は貝でも食べられる。せめて小梅には、魚を食べさせてあげたい。


 探すこと、30分。


「……んお?」


 なにかを見つけた。


 岩と岩の間に出来た水溜まりに、なにかが泳いでいる。


 それは、15センチほどの魚。


 魚の種類は、わからないが、食べられなくはないだろう。


 チャンス。


 これは、是非とも捕まえたい。


「よし……絶対とる!!」


 魚が逃げないように、岩の間を体で遮断する。


 両手を沈め、ゆっくりと魚に寄せる。


 だが、気配を感じたのか、魚は、スッと逃げる。


「あっ、チキショーッ!! やっぱ、素早い」


 でも、海には逃がすものか。


 俊輔は思いきった行動に出た。


 水溜まりの海水を口に含んで、外に吐いた。


 少しずつ、海水を減らして泳ぎを封じるつもりだ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ