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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 口に含んでは、出し、また口に含んでは、出しを繰り返した。


 魚の動きを封じ込めた。


 そこを上から押さえるようにして、一気に掴んだ。


 見事に捕えた。


「やった!! やった!! 魚だっ!! GETしたぜ、おるぁーーっ!!」


 魚は片手で握れほどの小ぶりだったが、小梅が食べるには、そこそこの大きさだろう。


 一度、鯉を捕まえた時、小梅は同時に鶏をシメて捌いていた。


 だが、食べたのはほんのわずか。


 後は、俊輔が頑張って、たいらげた。


 満腹の限界まで食べたのは、あれが最初で最後。


 それまでは、そこそこの量があったりなかったり。時には食べられない日もあった。


 また、はち切れるほど食べたい。


「貝を集めるか……それとも他にないか?」 


 ここは海だ。


 まだ、食べられるものはあるだろう。


 海岸に沿って岩場を進む。やがて、コンクリートが見えてきた。


 ここはいつぞや見た、船着き場だ。


 辺りはゴミが浮いている。


「流れついてくるのはしょうがないよな」



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