テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 バケツの中で、タコが魚を襲わないように、時々、棒でちょっかいをかけながら、浜にもどった。


 浜が見えると、ワクワクする。


 自分が作った、自信のいかだがあるからだ。


 少しはなれてから、また見ると嬉しくなる。


 現実にもどり、いかだ作りを再開すると、また不安になる。うまく、生きて帰れるかどうかと……。


 だが、一度、ここに船が来たことがある。その時は、小梅が追い返してしまったが、つまり、本土からは、それほど離れていないと推測。


 見た感じクルーザーほどの船だった。


 つまり、船は近辺をよく通っている可能性がある。


 それならば、助かる見込みはある。


「絶対、帰ってやる」


 俊輔は、捕ってきた魚とタコの調理をはじめた。


「ウロコはとらないと……」


 魚を板の上にのせ、砂浜で拾った包丁を少したてて、尻尾から頭に向けて、全体をこする。


 ポロポロとウロコが取れていく。


 太陽の光が当たると、キラキラと輝く。


 両面のウロコを取ると、お腹に切れ目を入れて内臓を出す。


 見よう見まねで初めてやったが、うまくいった。


 やや魚はクタクタになったが……。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ