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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 火を起こして網の上にのせる。


 そのまま焼けるのを待つだけだ。


 タコは塩水でよく洗い、ヌメリをとる。


 だが、絶えずヌルヌルがおさまらない。


 ヌメリを取るには、塩をまぶせばいいが、塩は全部使ってしまった。


 多少のヌメリを残したまま、タコを沸騰した塩水にぶっこんだ。


「茹でダコだ。本当はたこ焼き食いたいんだけどな。たぶん、いや、絶対に材料は揃わない。でも、タコ食えるだけでいいや」


 タコは真っ赤になり、足がクルクルに巻き出してきた。


 小梅は木陰でスヤスヤと、眠りについている。


「もうすぐ焼ける。魚食うかな」


 俊輔は小梅を起こす。


「おーい、婆さん。起きろよ。魚食うか? さかな。食べませんかぁ?」


 俊輔の声に目を覚ます。


「あら……」


「あらじゃないよ。魚焼いたから。食べなよ」


「……」


 小梅はふらっと立ち上がる。


 香ばしい魚が焼けた匂いがする。


「あらまあ」


 鍋のフタにのせられたのは、焼き魚と、茹でたタコの足。


「婆さん、食べなよ。おほっ、うまそぉーっ!!」


 小梅は箸を持って、魚をつまんだ。



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