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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 魚が小さいせいか、小梅は頭からかぶりついた。


「おっ!! いったねぇ、婆さん」


 よく火が通っていたのか、よく噛む音が聞こえる。


 小梅は、口を動かしながら微笑んだ。


「おいしいねぇ〜」


 それを見た俊輔の心の中に、温かいものが、ジワッとこみあげてきた。


 小梅の笑顔は数えるほどしか、見たことがない。


 通常に戻った時は常に笑顔だ。


 この島に来て、小梅には不便なことがたくさんあったはずだ。


 生きるために、動ける自分がいっぱい動いて、二人で生きてきた。


 時々、小梅にも助けてもらった。


「婆さんさぁ、いかだ完成するのはもう少しだからさぁ、諦めずに頑張ろうな」


「はぁい」


「わかってるのかなぁ?」


「はぁい、今度はイカを食べさせてくれるのね」


「はい、らしいグダ話だ。この性格があるから生きてこれたのかもな」


 俊輔も、タコにかぶりついた。


「んぐ……ん……うめぇっ!! めっちゃうめぇっ!! ここで、海のもん、貝以外に初めて食ったぁーーっ!!」


 あまりの美味さに、天を仰いだ。



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