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サバイバルヘルパー

第10章 嵐と小梅

 いかだに小梅が、うつぶせにしがみつくように、乗っていた。


「バカヤロー!! うわっぷ……ペッ、なにやってんぶふぁっ!!」


 目の前で、いかだが大きく揺れている。


 自分も揺れながら、いかだと小梅を見守っている。


 早くいかだを捕まえなければ、小梅が危ない。


 なぜ、あんなところに……。


 雨が振りだした時は、いかだの上に自分が寝ていた。


 目を覚ましてテントに避難した時は、まだ、小梅の姿は見えなかった。


 と、いうことは、いかだが流される前に、小梅が乗ったとしか考えられない。


 暴れる波に身を任せ、手を伸ばしながら板に乗る。


 だが、後少しが届かない。


 俊輔は板の上に膝をたて、ジャンプをするように海に飛び込んだ。


 バタバタと水中でもがきながら、いかだの下に潜り込んだ。


 水の勢いに圧され、体が、弾けそうだ。


 底の竹組に捕まり、腕をかける。波と水圧に流されないようにするのが、精一杯だ。


 息が苦しくなる。


 俊輔は波が一瞬戻る隙をついて、いかだの底に潜り込み、底板を抜いた。


 そこは、トイレのために、開けた穴だ。



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