テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第10章 嵐と小梅

 力はもう残っていない。


 帆の支えとなっている棒に、垂れ下がったロープがかかっている。


 十字に組んだ長い棒に、シーツをひっかけ、ロープで縛り付けた、簡単な帆。


 そのロープを手に取り、腕に巻きつけた。


 力がなかったら、体重でいく。


 自分の体重でロープを引っ張り、ちょうどいい風向きで固定した。


「よし!!」


 後はそのまま、いかだの上でしゃがみ、帆の向きを保つ。


「うおりゃーーっ!! いっけぇーーーっ!!」


 帆は風を受け、そのまま船着き場まで進む。


 何度も雷の光が俊輔を照らす。


 邪魔をするように、雨が俊輔を叩く。


 風と波が上手く乗った。


 いかだは上下に揺れながら、船着き場に突き進む。


 小梅は船酔いしたのか、いかだのトイレ穴に向かって吐いた。


「おう、せっかく作ったトイレ、無駄にならずにすんだぜ!!」


 いかだはグングン風を受け、後、数十センチと近付いた。


 船着き場から少し離れた岩場に、いかだが追突。


「よし、行けた!!」



 俊輔はロープを腕に巻き付けたまま、いかだを降りた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ