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サバイバルヘルパー

第11章 俊輔

 腕が痛だるい。


 いかだには帆が立ったままだった。


 小梅を落とした後、すぐさま腕からロープをはずした。


 あのままだと、本当に危なかった。


 帆をそのままに、いかだの上にしがみついて、恐怖のまま孤独の世界を耐えていた。


 三角屋根に頭を突っ込んで、風の吹くまま、帆が向くまま、流れにまかせようと思った。


 何度も、自分はもうここで死ぬと思った。


 でも、俺は生きてるよ。奇跡って、あるもんだな。運が良かったとか言う問題じゃない。これは、奇跡。


 でも、どれだけ揺られていたのだろう。


 ずっと雨に打たれ、波をかぶって、体が冷え冷えになりながら、さまよってたんだ。


 恐怖のあまりに脳が収縮しそうだったよ。海に投げ飛ばされたらどうしようと思った。漂流して、海の上で死んだらどうしようと思った。


 気が付けば、揺れは止まっていた。


 砂利や石が多い浜にいかだは、乗り上げていた。


 だが、三角屋根は無くなり、そこの竹組みは崩壊していた。


 ロープで固定してたものだけが、見事に崩されていた。


 やはり、甘かったんだ。


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