テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第12章 ……な再会

 ふと、あることを思い出した。


「あ、そうだ、婆さん!! ちょっと聞いて。聞くだけなら出来るだろ」


 小梅はただ、ボォーっと俊輔の顔を見ている。


「さっき、人がいたんだよ。中年のおじさんが、向こうにいたんだよ。きれいな家も、向こう側にあったし、頼めば連絡してもらって、島から出られるかもしれない。ちょっと助けてもらいに行こうよ」


 俊輔は、小梅の背中をポンと触れて、来た方向を指差した。


 向こう側の先までは、散策していなかった。


 場合によっては、もっと早く島を出られたかも知れない。


 俊輔は、その家に行ってみようと小梅に促す。


「ここには、他の人はいませんよ」


「うん、まあ、そうかもしれないけど……え?」


 小梅を見た。


「いま、婆さんが喋ったよな。婆さん、わかんないだろ」


 そう聞いても、小梅は黙ったままだ。


「あれ? 婆さん、いま一瞬だけ戻った?」


 小梅に、そんな様子はない。


 だが、また……


「ここには、他の人は誰も住んではいませんよ……私達以外は……」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ