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サバイバルヘルパー

第13章 新事実

「どうぞ、お入り下さい」と久美子がドアを開ける。


 俊輔は家の中に入る。


 なにを聞かされるんだ?


 そんな不安が胸を圧迫させる。


 和風な畳の間に入る。冷房が効き、部屋の真ん中には、昔ながらのちゃぶ台があった。


「どうぞ、座布団にお座りになってくださいな。いま、冷たいお茶を入れます」


「……はぁ」


 俊輔は言われるがままに、座布団に座る。


 広さは6畳ほどだろう。本棚と食器棚と仏壇があるだけ。


 小幸も座った。


「……」


 ぼぉーっと、宙を見つめる。


 その辺りは、小梅だ。


 本名が小幸だとわかっても、成りと振りは小梅だ。


 やがて、久美子が丸いお盆にグラスと麦茶のボトルをのせて、入ってきた。


 俊輔はゴクリと喉を鳴らす。


 麦茶。久しぶりに見る、味のついた液体。


 久美子はグラスに麦茶を注ぎ、ちゃぶ台の上に置いた。


「召し上がって」と久美子が言うと、俊輔はググッと一気に飲み干した。


「うめぇーーっ!!」


 五臓六腑に染み渡る。美味しいの言葉以外、なにも出てこない。

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