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サバイバルヘルパー

第13章 新事実

 久美子はまた、俊輔のグラスに麦茶を入れた。


 俊輔は部屋全体を見渡した。


「ここに、二人で住んでるってこと?」


 久美子は頷いた。


「そうなんです。もう、私達が幼い頃から……」


「じゃ……ここにいる小梅さん……いや、小幸さんは、一緒に漂流してきたんじゃなかったんだ……」


「小梅は、私達のいとこの名前ですわ。それに、姉はずっとここで暮らしてましたから」


「いとこっ!? でも、船の乗船チケット持ってたよ」と俊輔が言うと……。


「あれは、あなたが、手に持ってたのを、私が見たの」 


 小幸が言った。


「えっ!!」


 ここに、漂流してきたのは、俊輔一人だった。


 小梅は、人が倒れていたから、近寄っただけのこと。


「じゃ、ちょっと待ってよ……小幸さんは、いつも俺と一緒にいたじゃないか。俺が漂流してきたことを知ってるじゃないか。なぜ、助けてくれなかったんだよ。近くにこんな家あってさ……」


「それをお話しいたしますから、落ち着いてくださいな」


 久美子は麦茶を一口飲んで、喉を潤すと、大きく息を吐いた。




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