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サバイバルヘルパー

第13章 新事実

「私達が、まだ若い頃、ここには100人程度ですが、人が住んでいました。この島には温泉も出るので、船で来られる方が海や山の自然を楽しんで、旅館に宿泊されたりして、栄えていたんですよ」


「ずいぶん前の方から、話すんですね」


「そうですね。でも、少なからず今回の件とは関係してきますよ」


 久美子はまた一口、麦茶を口に入れる。


「ですが、徐々に若い人達が島を離れ、ここには、年をとったものしか住まなくなったんですよ」


「わかるなぁ……俺だってそうするかも」


「ついには、この島の長が、一旦島を離れ、ここを開拓させてリゾートにすると言い出しました。ですが、私達は反対しました。ここには、私達のたくさんの思い出が詰まっているんです。ですが、この家も、立ち退きを要請されました」


「えっ、他の人達は?」


 俊輔が尋ねると、小幸が口を開いた。


「みんなねぇ、お金をいっぱい貰って、島出てった。うちらは貰わなかったよ。島を捨てたくねえから、うちらは残った」


「そうなんだ……て、婆さん、結構喋れるじゃないか。いつも、俺のこと久美子って呼んでてさぁ」


「あ、姉はたまにそうなります」


「あ、なるんかい……」


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