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サバイバルヘルパー

第13章 新事実

 久美子は落ち着いて、俊輔の前に座り、小幸の事を話し始めた。


「姉は、この島の男性と結婚したんです。その男性と言うのは、この島で唯一の温泉旅館の経営者の息子であり、のちの経営者でした」


「旅館……ですか」


 この島の旅館と言えば、心当たりはある。


「そして、島のリゾート開拓の話が出て、その旅館も大きなホテルになると言う話がでました。ですが、姉の小幸はそれを反対したんです。息子にとっては悪い話ではないのですが、姉はこの島にはそぐわないと……」


「ホテルになったら、その経営者は、もちろん息子さんになるってこともあったのかな?」


「そうです。姉と結婚した時は、その息子も経営者になってました。その話し合いの押し問答は長くかかりました。互いに譲らず、ついには、姉はこの家に移ってきました」


 俊輔はふと、あの旅館で見た遺体を思い出した。


「まさかな……」


 久美子は続ける。


「その頃姉は51歳。旦那さんが9歳年上だったんです。年齢のこともありますので、旦那さんははやく決めたかったことでしょう。この家を売却すると言い出しました」


「ここを? でも関係ないっしょ?」


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