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サバイバルヘルパー

第2章 島

 徐々に、松ヤニにも火が渡り、ハッキリとした火が確認できた。


「やった、やった、やった」


 苦労のすえ、やっと手に入れた貴重な火。


 テンションは上がるが、行動は慎重だ。


 穴を掘って作ったかまどの、網がわりの傘の骨を少し外し、中に薪や枯れ草を入れる。


 そして、余った傘の骨を箸代わりにし、燃える松ヤニの塊をつかんで、慎重にかまどの中に入れた。


 一瞬、消えかけたが、再び赤い炎を、吹き上げる。


 やがて、枯れ草に燃え移り、薪に火が回る。


 完全に火がついた。


 俊輔は拳を握り締め、砂に額をつけた。


 そして、一気に起き上がり、両拳を天に突き上げた。


「ヤッ……タァーーッ!! 火だ火だ火だぁーーっ!!」


 その喜びを、空にむかって叫んだ。


 喉が渇くのも忘れ、全身に嬉しさを表した。


「やったー、すげえ、ペットボトル、やるなぁ……」


 初めて自力で火をおこした。


『パチパチパチパチ』


 小梅が、こっちを見て、笑顔で手をたたいている。


 俊輔は照れくさそうに笑った。


「アハハ、俺、火をつけちゃったよ」 



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