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サバイバルヘルパー

第13章 新事実

「心配だったの。あなたが、本土に帰れば、必ず、この島の遺体のことを警察に言うでしょう。だから、あなたをここから帰したくなかった」


「そりゃ、そんな裏事実知らないから、向こうに帰ったら言うよな。でも、それだけで足止めされちゃ、俺がたまらないよ。ここにいたって、なんにもならないんだから」


 この島にいる異性は、婆さんだけ。恋人もつくりたいし、結婚もしたい。


「あの嵐の日、どうしようか迷いました。あのいかだを安全な所に引っ張ろうか、それとも押して海に流そうか……でも、どっちも出来ないうちに、波にさらわれ、私はいかだに乗ったまま流されました。その時、俊輔さんが助けに来てくれた時は、本当に嬉しかった」


「いや、寝てたじゃない。寝息(Zz)が聞こえてたよ」


「怖くて震えてたのよ。でも、痛く苦しい思いをさせたのは、本当に悪かったと思ってるわ。姉は帰してあげたいとは言ってました。あなたが材料を集めている間、一生懸命シーツと木の棒で帆を作ってましたよ」


 久美子は、何本も赤く内出血の線が出来ている俊輔の左腕を見て、そう言った。


「あれ、作ったの小幸婆さんだったのか……てか、あれから2日経ってるて、言ってたよな。本当に?」


 俊輔はそんなに時間が過ぎているなんて、感じなかった。


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