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サバイバルヘルパー

第14章 帰ろう

「この島には、この島の良さがあったんだ。でも、それを守っていこうとするものが、最終的に、深い谷から這い上がれず、重い足かせをはめたまま生きることになったんだ。上の者のわがままのおかげで……。ここの長ってやつは、トップになってはいけない人間だったんだよ」


 俊輔は、遺体が沈む井戸のある、長の家に向かった。


 俊輔は井戸の前に立った。


「あんたの話聞いたよ……最低だよ。もっと少数派の意見も聞くべきじゃなかったかな……人の力で作り上げた大自然を、また人の力で壊さなくてもいいじゃない。ここの自然は、島の人達に感謝していたと思うよ。あんたは、それを踏みにじろうとしたんだよ。欲と儲けのために、奥さんと子供を殺してさぁ、あんたも殺されて当然だ。俺は、それだけ文句が言いたかった。それと、あんたの家からいろんなもん借りたから。それだけは礼をいっておくよ。ありがとうな」


 言いたかった事だけをを言うと、俊輔は外に出た。


 家の周りには、たくさんの木が緑の葉をゆらしている。


 考えてみれば、島の人のほとんどが、本土に向かっている。


 金の力だ。


 金の力で島民は動かされた。


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