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サバイバルヘルパー

第3章 探検

 心が折れそうだった……いや、すでに折れているだろう。


 生きることに必死になったことなんて、初めてのと。


 しかも、俊輔が背負ったのは、生きるか死ぬかの、死ぬか寄りに近い生きるだ。


 それも、自分だけじゃない。もう一人いるのだ。自分と小梅の分を背負っている。


 俊輔はバッグをポンと叩いた。


「ペットボトル手に入れただけで、喜んでるって……こんなの欲しけりゃ、どこでも手に入る。てか、中身が欲しいよ……水欲しい……俺一人やだよ……帰りてぇ……そうめん食いてぇ……」


 ぼやくだけぼやく。気のすむまでぼやく。 


 何度もぼやき続けると、やがてはぼやくことに飽きてくる。


「はぁ〜、動かなければ、前に進めないよな。なにか、すげぇもんがあるかもしれないしな」


 心が前を向き始める。


 俊輔は自分をコントロールする術を、意識はしていないが、自らその方法を作り出して、脳におさめていた。


 負のイメージを溜め込んで溜め込んで溜め込んですれば、やがてバカバカしくなり、そんな自分に嫌気がさす。



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