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サバイバルヘルパー

第3章 探検

 立て付けが悪いのか、ガタガタと引っ掛かって開けづらい。


 ムワッと茶色く着色したような悪臭が鼻だけでなく、顔全体に襲いかかる。


 鼻腔が勝手に閉じるほどの、目に見えない最強モンスターが、俊輔を酸欠にいざなう。


「うえっ!! 生ポットン、初めて見た! アカン……こんなん暴力と一緒だ!!」


 中は普通の白い和式便器で、全面板張りだった。


 早く閉めたいが、戸がガタガタと引っ掛かるため、なかなか閉まらない。


「ワナにかかった……これ、明日まで鼻に匂いがつく……」


 おそらく、朝の電車でサラリとした女性の髪がフワッと香っても「う〜ん〜、ポットンフレグランス〜」としか感じないだろう。


 やっと、戸が閉まった。


 急いで距離を取り、草木に顔を突っ込み、「スーハースーハー」と深呼吸をはじめる。


「ゥオエッ!! 婆さん、あんな所でしたら、酸欠になるぞ!!」


 小梅がいない。


「あれ?」


 さっきまで一緒にいたはずだ。


「婆さん、どこ?」


 俊輔はトイレを離れ、家の裏を確かめる。


 裏口の扉が開いている。


 

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