テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 浜に小型船が止まっている。


「えーっ、えーっ、えーっ、えーっ、えーっ!!」


 突然の幸運に冷静になれず、ただ、驚くだけだ。


「船だ、船だ……えっ、なに!?」


 仏像を見た。


 笑っているように見える。


「ほんとうにぃーーっ!!」


 願いが通じた。


「やべ……行かなきゃ」


 急いで浜に向かおうとする。


「あ、どっちが近い」


 すぐ横には、俊輔が登れなかった、岩場の急斜面がある。


 ここを下れば、砂浜までまっすぐいける。


 安全性を考えるなら、廃屋のトイレを抜けて、まわっていかなければならない。


「早く行かなきゃ」


 俊輔は急斜面を下ることを試みる。


 上から覗きこむと、かなりの落差を感じる。


 だが、それは目の錯覚。


 下から見るのと比べれば、高くて急な勾配に見えるが、下りてみると、それほど難しくはない。


 だが、滑り台以外に、これほどの急斜面を下ったことがない俊輔にとっては、まさに危険と隣り合わせの状態だった。


 焦れば焦るほど、足がすくむ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ