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サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 俊輔は、その辺に落ちていた枯れ葉付きの古木を拾い、金網の柵をこえた。


 雨のせいで、やや滑りやすくなっていたが、金網を左手で掴んだ状態で、その木を溜め池に突っ込んで、かき回してみる。


 瞬く間に木は、重量感を増した。


 緑色の藻が大量に絡んでくる。


「こりゃ、すごいなぁ……」


 かきあげた藻だけで、カツラが2、3個作れそうだ。


 枝先に絡まった真緑の藻をむしりとり、もう一度突っ込んでみる。


 ひっそりとした雰囲気の中に、ポカリと口を開けた溜め池には、なにもいないのかもしれない。


 また、白骨が出たらどうしようという、怖さもあった。


 ここは夜になったら、恐ろしく不気味であることは間違いない。


 意識をすれば怖くなる。ただでさえ静かな森の中。


 また、近くに小梅がいないだろうなと、キョロキョロとしながら、木を池の中に突っ込む。


 グッと奥の方まで入れ込み、深い位置からグイグイとかき回す。


 緑色の毛の束がまとわりつく。


 都会でこれを見ていれば、間違いなく「ウエッ」となっているだろう。




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