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サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 狙いを定めて、一気に振り下ろした。


 激しい水しぶきと共に、強い弾力性を手に感じた。


 鯉は、暴れだした。


 すかさず、もう一発ぶち当てる。


 藻がクッションになって、ダメージが外に逃げるのか、鯉はまだバシャバシャと跳ねあがる。


「しぶといな……じゃ、これでどうだ」


 さらにもう一発。


 今度は下ろして当たった瞬間に、棒を上げた。


『パカンッ!!』と音がした。


「手応えありっ!!」


 俊輔の目には金色の輪をつけた、半透明の鯉が浮かんでいくのが見えた。


 鯉は動かない。気絶していると思われる。


 棒の先で大量の藻ごと、鯉を引き寄せる。


 ゆっくりと右手を伸ばし、尻尾を掴んだ。


 ズッシリとくる重み。


 俊輔は金魚以外の魚をつかんだのは初めてだ。


 片手では持ち上げにくいため、体を前のめりにし、左手を添える。


「うわぁっ!!」


 バランスを崩し、そのまま池の中に落ちてしまった。


 しかし、その手はしっかりと魚を掴んでいた。



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