テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 藻に絡まり、緑だらけになりながらも、立ち上がる。池は俊輔の太もも辺りまでの深さだった。


 どれだけ濡れようが、泥で汚れようが、魚を手にいれた喜びの方が、はるかに勝っていた。


「魚だぁーーっ!! 獲ったどぉーっ!! これが言いたかったぁーーっ!!」


 俊輔は金網の上まで、鯉をぶん投げた。


 枯れ葉のクッションに、バウンドし、鯉は地面の上へ。これで逃げることはできない。


 俊輔は、あわてて池から上がり、金網をこえた。


 せっかく手にいれた鯉を、動物に盗られてはなるまいと、あわてて吹っ飛んできた。


「あはは……超ラッキーだ!! 婆さん、喜ぶぞ」


 魚はブルーシートにくるみ、ほどいた釣糸は、絡まないように、木の枝を拾って巻いた。


 太陽はもう、3分の1も顔をだしていない。


 完全な闇になるまえに、戻らなければ危険だ。


 さっそくいつもの浜へ、戻る。


 その途中に何本か、雨を免れて乾いている枝を拾ってきた。


「婆さん、いるかい?」


 呼んでも返事がない。また、いないのか?



ストーリーメニュー

TOPTOPへ