テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第5章 負傷

 朝はそれほど暑くはなかった。


 少し雲が出て、生ぬるい風がくる。


 前日の雨で、湿気が高くなっているのだろう。


 ややジトジトしてくる。


 俊輔はさっそくブルーシートを広げた。


「……さて、どうしよう?」


 いま、自分が拠点としているのは、初日からいる浜の森の入り口にある、大きな木の下。そこの柔らかい砂地の上にいる。


 拾ったバッグにあった、シャツやパンツを、1枚のシャツにつめてマクラして寝ている。


 そんな場所に、どうやってシートを使おう?


 テントにでもしようと思ったが、くくりつけるにも、ロープもなにもない。


「ひとつ用意出来ると、ひとつなにもねえもんなぁ。どうしよ?」


 ありそうな場所といえば、廃屋の中だ。


 ロープか、それに代用できるものはあるだろう。


 だが、あそこには入りたくない。


「なんか、嫌なんだよなぁ……怖いもんなぁ」


 だが、行くしかない。


「そうそう出るもんじゃねえだろ。よし、行こう」


 俊輔は立ち上がった。


「おーい、婆さん。一緒に散歩いこうか」




ストーリーメニュー

TOPTOPへ