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sugar-holic

第16章 まさか…

コーヒーを一口飲んだ高橋さんは、眉をしかめて

「薄っぺらな味だなぁ」

「うちはコーヒー専門店じゃないんで」

嫌味で返した亮くんに、高橋さんは目を細くすると

「にしても…お前、ポットのお湯使っただろ」

「…何で分かるんですか?」

「せめて沸かし直せ。抽出は95℃が適温。それより低いと、香りも旨味もない」

へぇ。一口飲んだだけでよくそこまで見抜いたなぁ。

感心して見ていると、浅野さんが教えてくれた。

「高橋くんはうちの会社の近くの店で、バリスタをしてるんだ」

「え、そうなんですか?」

ただのコーヒー通じゃなくて、プロなんだ。

「はい。今度ぜひお立ち寄りください」

こっちを見てニコッと笑った。

人受けの良さそうな表情。

優菜ちゃんなら『イケメン店員がいました!!』って大騒ぎしそうだな。

私も微笑んでみせると

「こんな所でお客さん盗らないで下さーい」

亮くんが腕を伸ばして、私と浅野社長の間で壁を作った。

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