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sugar-holic

第16章 まさか…

倉田くんの名前は、たしか…

「とものり。だけど漢字が友達の友に、二十一世紀の紀だろ?中学の入学式で、先生に『ゆき』って呼ばれて」

「あ…それで」

「それ以来、ゆきちゃん」

高橋さんはくくっと喉の奥で笑うと

「俺の知ってる中でも、こんなあだ名はあいつだけだな」

「良かったじゃん。標的が他にいて」

亮くんがさらりと言うと

「ま、あいつも面白がって受け入れてたけどな」

「そこがあんたとは違う、と」

「うるせー」

高橋さんが鼻の上に皺を寄せて、コーヒーを飲み干した。

「梢さん?何か他のもの頼もうか?」

浅野さんが、私に気を使って聞いてきた。

「いえ、これで」

笑いを浮かべて、目の前のグラスを空ける。

「亮くん、梢さんに同じものを」

浅野さんの注文に、亮くんが私を見ると

「平気?他のにする?」

「ううん。同じので大丈夫」

だって全然酔ってないし。

クラッシュアイスのせいで、薄くなってる気さえする。

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