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sugar-holic

第17章 思い出してしまうから

客間を出て、リビングを覗くと、浅野さんがコーヒーを飲んでいるところだった。

「梢さん、おはよう」

目が合うと、笑って言葉をかけてくれた。

う…。

途端に昨日の失態が頭をよぎる。

「申し訳ありません。ご迷惑おかけしました」

髪はてぐしで整えたけど、多分完璧じゃない。

それにメイク。

昨日のままだから、かろうじてスッピンじゃないけど…きっとボロボロだ。

手で口元を覆って、出来るだけ顔を隠そうとすると

「そんな気にしないで」

くすくす笑いながら浅野さんが立ち上がった。

「コーヒーでもどう?それとも先に洗面所かな?」

「あ…お願いします」

「そうだね。その方が落ち着けるだろうし」

そう言って、またくすくす笑って、洗面所に案内してくれた。

三面鏡が作り付けになった洗面台。

男の独り暮らしでこういうのは選ばないだろうな、って感じ。

結婚していたんだなって、こういうのでよく分かるなぁ…。

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