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sugar-holic

第17章 思い出してしまうから

とりあえず、鏡で自分の姿をチェックする。

思ったより髪がボサボサじゃなかったのにホッとした。

あとは顔なんだけど…

バッグの中の化粧ポーチには、基礎系が入ってない。

男の独り暮らしの浅野さんの家に、女物の基礎化粧品なんてあるわけないし。

少し悩んで…

水で軽く洗い流して、持ち合わせの化粧品でどうにか形をつけた。

普段のメイクより、完全に手抜き。

仕方がない。スッピンよりましだよね?

鏡の中の自分に問いかけて、小さくため息をついた。

リビングに戻り、

「ありがとうございました」

浅野さんに声をかけると

「いやいや。どういたしまして」

そして、コーヒーを差し出された。

「ブラックでも大丈夫?」

「あ、はい」

「良かった。砂糖もミルクも普段使わないから」

「ありがとうございます。頂きます」

少し熱めのコーヒーは、酸味が強かった。

浅野さんはこういう味が好きなのかな?


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