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sugar-holic

第17章 思い出してしまうから

二人で向かい合って座って、朝ごはんを食べた。

「頂きます」

浅野さんはオムレツを一口食べると

「うん、旨い」

そう言ったけど。

表情は何だか冴えなくて…

「やっぱり、違いますか?」

「え?」

「浅野さんの好きな味。…もっと言えば、奥さんの作った味と」

真っ直ぐに浅野さんを見ると、戸惑った表情を浮かべて…

「梢さん、鋭い所を突いてくるね」

そう言って、諦めたように、力の抜けた笑いを浮かべた。

「チーズオムレツに、何か思い入れがあるんだろうなって。そうじゃなければ、料理しない人が作る品じゃないですもん」

「そうだね。ごもっともだ」

頷いて、ふふっと笑うと

「料理の上手い人でね。オムレツなら簡単だろうと思ったのに、なかなかね」

「忘れられない味、ですか?」

「いや…忘れられないと言うより…思い出してしまう、かな。こうじゃなかったな…って」

寂しそうに呟いてから、あ、と慌てて

「悪い!せっかく作ってくれたのに。梢さんのも充分美味しいから」

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