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sugar-holic

第17章 思い出してしまうから

「そんな慌てなくても」

くすっと笑うと、困ったような表情の浅野さんに言った。

「浅野さんが奥さんを大切に思ってるのは、台所を見たら分かりますよ」

浅野さんは台所を見回し、不思議そうな顔で

「…何でそう思う?」

「普段料理しない人の台所は、もっと汚れてます」

強司もそうだったな。

使わない調理器具の上に埃が溜まってたりしてたっけ。

だけど、ここは全くそういった事がなくて…

「いつでもすぐに使えるようにきれいにしてるのは、誰のためですか?」

私の言葉に、浅野さんは驚いたように目を開き…

「本当に鋭いね」

そして、ため息を一つだけこぼした。

そんな浅野さんの様子に、ずっと疑問に思っていたことを口にした。

「浅野さんは…離婚した事を後悔しているんですか?」

目線だけ私に向けた浅野さんに、私は自分の予想が間違っていなかったと確信した。

「復縁とかは…叶わないものなんですか?」

「…どうかな」

自嘲めいた笑みを浮かべると

「離婚したのはね、お互いを思ってなんだ」

「え…?」

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