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sugar-holic

第17章 思い出してしまうから

ふと、前に優菜ちゃんが言ってたのを思い出した。

『好きで結婚した筈なのに、我慢できなくなるくらい嫌いになっちゃう訳でしょ!?』

浅野さんはそうじゃなかった、って事?

「結婚とほぼ同時に会社を興したんだ」

少しだけ遠い目をして、浅野さんが話し始めた。

「あの時はとにかく軌道に乗せようと懸命だった。家庭より仕事重視でね」

「はぁ…」

「彼女もそんな俺を支えようと一生懸命で…俺より早く起きて朝食を作り、俺が帰ってくるのを起きて待ってた」

それは…奥さんも大変だったろうなぁ。

「すごい!!出来た人ですね」

それが毎日だなんて。

よっぽど愛情が無ければ出来ないんじゃない?

笑顔を向けた私に、浅野さんはぼそりと聞いた。

「彼女も昼間働いてて、ろくに寝てないのが分かってもそう言える?」

「え!?それは…」

驚きの声を上げると、浅野さんは苦笑いを浮かべた。

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