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sugar-holic

第17章 思い出してしまうから

「今なら分かるんだ。俺が仕事を頑張れるように、彼女が俺の健康面を気遣って、手料理を作ってくれてたって。…だけどね」

腕を組むと、息を吐いた。

「その頃の俺は、空腹を満たせれば、コンビニのおにぎりでもいいって思ってた」

その言葉にドキッとした。

だってそれは、出会って間もない頃の強司がそうだったから。

「食事なんてどこでだって摂れる。それなのに無理をしてまで朝食を作ることはないんだって」

「それ…奥さんには?」

「言った。夜も帰りを待っていなくてもいい。遅くなったら寝ててくれ、とも」

うわ。それ言っちゃうんだ。

内心、頭を抱えた。

相手が心配で堪らなくて、良かれと思ってした行動を全否定されたら…

「そうしたら、初めて殴られた」

「ええ!?」

殴られた!?

奥さんって…なかなかの行動派だったのかな?

「そして泣かれた。それじゃ一緒に暮らす意味がないって」

「あ…」

うん。奥さんの気持ち、分かる気がする。

だけど、奥さんの体を心配する浅野さんの気持ちも、分からなくはないから…。

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