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sugar-holic

第22章 契約して下さい

その口調に、疑問が浮かんだ。

「倉田くんは、浅野さんの家、行ったことないの?」

「…ありませんけど?」

「そっか…。すごい大きな家。奥さんと二人で暮らしてたとは思えないくらい」

私の感想に、倉田くんは苦笑いを浮かべた。

「あぁ…。離婚してから、そのまま住んでるんですね」

「それで…思ったの。強司の家の台所、綺麗なのかなって」

私の言ったことが理解できなかったのか、倉田くんは眉を寄せた。

「何ですか?それ」

あれ?話、繋がってるよね?

「浅野さんの家の台所、すごく片付いてて、いつでも使えるって感じだったの」

「はい。…で?」

「強司はわりに無頓着で…私が泊まりに行く度に、台所片付けてたから」

「…へぇ…」

分かったのか分かってないのか。

実感のこもらない相槌を打たれた。

「あれから…私が片付けなくなって、どうなってるのかな、って…」

ビールを飲んで一息つくと、倉田くんがポツリと言った。

「未練ですか」

未練?

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