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sugar-holic

第22章 契約して下さい

「未練じゃなくて…心配?」

前髪をかき上げて、眉を寄せて言うと、倉田くんが小さく笑った。

「別れた男の心配ですか?」

そして、唇の端を歪めて、意地の悪い表情を浮かべた。

「散らかってる台所で生活していてほしい、とか?」

「何でよ」

そこまで底意地悪くないわよ!!

「え?違うんですか?」

「そんなの、望むわけないでしょ」

くくっと笑いを浮かべる倉田くんを軽く睨んで、ビールを飲み干していると

「だったら、何を望んでるんですか?」

その言葉に、空になった缶をサイドボードに置いて、倉田くんに向き直った。

そして、にっこりと笑いを浮かべてみる。

「綺麗に片付いてるって事は、彼女が出来たって事だよ」

私の話を聞いた途端、倉田くんが面食らったようだ。

「は…?」

瞬きをして私を見てる。

「だって…あの強司がこまめに片付けるなんて、考えられない」

私と付き合ってたときだって、私が片付けても、次の週末に訪ねていった時には元通り…また片付けから始めなきゃならなかったんだから。

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