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sugar-holic

第23章 鬼の霍乱

倉田くんのアパートに着くと、エントランスに人影を見つけた。

あれ…?

私がその人に気づく前に、比呂子さんが声を上げた。

「あ、史華じゃない!?」

比呂子さんの声に、驚いたようにこっちを見て…

あ、やっぱり史華さんだ。

私たちと目が合うと、史華さんは露骨に顔をしかめた。

「何で吉田さんがここにいるの!?」

「アンタこそ、こんなところで何してるの!?」

「トモノリのとこに来たらいけない?」

そう言って、フフッと笑いを浮かべた。

うわ。何て言うか…勝ち誇った笑み、だ。

その表情を見て、比呂子さんが眉をひそめると

「アンタたち、まだ続いてたの!?」

「別に吉田さんの許可は要らないでしょ?」

「…倉田の常識を疑うわ」

はぁ…とため息をついた比呂子さんに、史華さんは目を細めた。

「どういう意味?」

「アンタのせいで、こっちはどれだけ苦労したと思ってんの!?」

「またその話…会社辞めたんだし、もう済んだ事でしょ」

そして、小さく息を吐くと、比呂子さんを正面から睨み付けた。

「いつまでも引きずらないでもらえません?」

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