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唇を離すと、史華が俺の首に腕を回し、しがみついた。

ふぅ…と息を吐き、俺の頬に頬をくっつけると、甘い声で囁いてきた。

「あたしはトモノリの事、好きだったよ？」

好きだった、か。

その気持ちに嘘はないんだろうな。

だけど…

「何番目に？」

「え？」

「同じセリフ言うの、これで何回目だ？」

俺の問いに、しがみついていた腕の力を緩め、戸惑った表情で俺を窺っている。

「んで、俺の所に来るまでに、何人と『最後の』セックスして来たんだよ」

淡々と告げると、史華は顔を赤く染めて俺を睨んだ。

そんな史華を見て、確信する。

当たり、か。

結婚するのに身辺整理をするのは当たり前だ。

だけど、それはないだろう？

相手に未練だけ残して、自分は切り捨てていくんだな。

本当に、お前はそういうオンナだよ。

ため息をつくと、史華の腕を引き外した。

「じゃ、そういう事で」

「そういうって…トモノリ!?」

瞬きをして呆然と俺を見る史華に笑いかける。