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sugar-holic

第29章 思い出の味

「で?何?どういう事?」

「そんな嫌そうな顔するなよ」

強司は麦茶を一口飲むと

「連絡取ろうとしたのに、相変わらず着拒なんだもんな」

「あ…」

そう言えば。

解除しようか散々迷ったあげく、そのままにしてたんだった。

「最後のつては、こないだ貰った名刺だけ」

そうだ。

あの時、私の名刺をそのまま受け取ってたっけ。

「で…何が目的?」

ただ連絡取りたいだけなら、会社に電話すれば取り次いでもらえたでしょ?

わざわざ東京から岐阜まで訪ねてくるなんて…何で?

「話があるんだ」

「話?」

「あと、会いたかった」

ストレートな言葉に、戸惑いながらも…

心臓が、どくんと音をたてた。

「…ってのは冗談だけど」

おどけた物言いに、力が抜けそうになる。

あぁ、そうだ。

強司ってのはこういう人だった!!

「何?怒らせに来たの!?」

「いや、冗談ジョーダン。悪い悪い」

笑いながら謝って、急に真面目くさった表情を浮かべると

「梢に頼みがあるんだ。梢にしか頼めない事なんだよ」

そう言って、顔の前で手を合わせた。

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