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sugar-holic

第29章 思い出の味

仕事が終わって。

強司と待ち合わせしている場所に急いで向かった。

結局、頼みを聴いてしまうんだから、自分でもどうかしてると思う。

だけど、わざわざここまで来るからには、それなりの理由があるんだと思うから…。

「梢」

私を見つけた強司が、名前を呼んだ。

未練なんかない。

なのに、この声で名前を呼ばれると、何か勘違いしそうになる。

「ごめん、待たせた?」

想いを振り切るように、明るく声をかける。

「いや?そんな事ないぜ?」

「それで、頼みって何?」

ミーティングルームで頼み事を訊いたのに、何だかんだはぐらかされて結局教えてもらってなかったんだ。

何か、倉田くんといい、こういう頼みかたってズルいと思う!

「ん…じゃあ、材料買いに行こうぜ」

「材料?」

意味が分からず聞き返した私に、強司はニッと笑った。

「とりあえず、梢の家の近くにスーパーってある?」

「スーパー!?」

スーパーって、野菜とか売ってるスーパーだよね?

材料って、食材って事!?

でも…何で?

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