テキストサイズ

sugar-holic

第29章 思い出の味

それから私の家に戻って、親子丼の料理教室が始まった。

「それにしても、お前、この部屋で暮らして荒まない?」

私の部屋を一瞥して、強司は呆れたように言った。

「機能的でしょ?」

「断捨離にも程があるだろ」

くくっと笑った後に

「女なんだから、潤いくらい持てよ」

「潤いって?」

「ぬいぐるみ置くような年じゃないなら、花とか…インテリアにしても、女を感じさせそうなの、カーテンくらいじゃん?」

…そのカーテン選んだの、男なんだけど!!

褒められポイントが、倉田くんの選んだものなのが、なんとなく面白くない。

「はいはい。じゃあ始めるよ」

買ってきた道具を洗い、準備を始める。

玉ねぎの皮を剥こうとしたら

「あ、梢。俺にやらせて?」

思ってもいなかった言葉に、手が止まってしまった。

「え?強司、料理するの!?」

「いや…見ただけじゃ忘れそうだから」

私から玉ねぎを奪うと、慣れない手つきで皮を剥き始めた。

このために、わざわざ来たの!?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ