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sugar-holic

第29章 思い出の味

「おかしいと思ったんだよね。いくらなんでもわざわざ来ること無いって思った」

「名探偵だな」

強司は自嘲めいた笑みを浮かべた。

「らしくないか?」

「だね」

少なくても、私と付き合ってた頃の強司なら、私のために料理しようなんて思わなかったでしょ?

「何か…俺が作って、食べさせてやりたいって思ったんだよ」

「へえ…」

変わったね。

私と出会った頃は、ご飯なんて何でもいいって言ってたのに。

彼女のためにご飯を作ってあげたくなるなんて。

「じゃあ、美味しく作れるようにちゃんと覚えて行ってよ!?」

笑いを浮かべて、作った出汁を鍋に張った。

「なぁ、あとでレシピくれよ」

「えー?レシピって言ったって、醤油大さじいくつとか量ったことないもん」

「目分量かよ!?」

「うん。あとは味見で調整」

「マジかよ…」

眉をしかめて唸り声をあげる強司を見て、心のなかで笑いをこぼした。

仕方ないなぁ。

あと1つだけ確認したら、それで許してやるか。

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