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sugar-holic

第29章 思い出の味

「彼女に食べさせたいの、親子丼だから?」

「ん?」

聞き返した目が揺れてる。

動揺しまくってるなぁ。

「子供、出来た?」

卵を混ぜていた強司の手が止まった。

「結婚するんでしょ?」

「梢…誰から聞いた!?」

驚いた表情の強司に、自分の予想が当たっていたんだと分かって…

自然と笑っていた。

「聞いてないよ。想像しただけ」

そんな私に、強司は眉を上げてため息をついた。

「まさかと思うけど、彼女に親子丼ふるまってプロポーズなんてベタなことしないよね?」

押し黙ったままの強司に、口元を歪めた。

「…するんだ」

「お前さ…!」

言い返そうと向き直ったものの、私を見て苦笑いを浮かべて

「梢、すげぇよな。何でもお見通しって感じで…怖いわ」

怖い、か。

それくらい考えられる程に、私は強司を理解してたんだよ?

強司は、私を分かってくれてた?

強司のこぼした言葉に、笑うしかなかった。

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