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sugar-holic

第29章 思い出の味

「何よ!?」

強司の視線が気に入らなくて、つい睨んでしまうと

「気になる奴はいるんだな」

そう言われて、どくんと心臓が波打った。

「けど、付き合ってはないのか」

私の様子を見てなのか、強司が薄笑いを浮かべて断定した。

何で自信たっぷりに言いきるのよ!?

「だから、ノーコメントって言ってんじゃん!!」

少しだけふて腐れたように、唇を尖らせて膨れっ面を作ると、

「当たりだからって怒るな」

そう言って、私の頭を軽く撫でた。

「…もう!!」

強司の手を払い除けると、強司はくくっと笑って親子丼を食べ続けている。

その余裕は何なのよ!?

あの時の私の事なんて、何も分かってくれなかったのに…

私の考えてる事なんて全て分かってるみたいな表情しないでよ。

「うん。やっぱり梢の料理は旨いわ」

未練なんて無い。

なのに、満足げに頷いてる強司を見てイライラしてしまうのは…どうしてなんだろう…?

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