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sugar-holic

第30章 鈍いにも程がある《倉田side》

商談も終わり、帰ろうとすると

「あ、そうそう。梢さんは元気にしてる?」

深い意味なんて無いんだろうな。

だけど、少しだけイラッとしてしまった。

俺に訊くなよ!!

「はい、国体のプロジェクト抱えてるから、張り 切ってる様ですよ」

表面上は笑みを浮かべて答えると

「そう。それは良かった」

浅野社長は口元をゆるめて、頷いて見せた。

「梢さんのおかげで長年の悩みが解消できてね。今、凄く充実しているんだ」

リア充、ってヤツか?

この男にもそんな悩みがあったのか。

「どんな悩みだったんですか?」

さらりと訊いてみたのに、浅野社長はニヤリと笑うと

「それは梢さんとの秘密だな」

だったら言うなよ!?

「梢さんに『上手くいったよ、ありがとう』って伝えてもらえるかな?」

「分かりました…」

そう返事をしたものの…

意味も分からず、伝言だけを話すみたいな真似をさせられる事に、イライラが募っていく。

何だよ!?

俺はメッセンジャードールかよ!?

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