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sugar-holic

第33章 誓い

「まさか倉田から引き受けるとはな」

やれやれと肩をすくめる次長に、倉田くんは腕組みをすると

「一応、この課の男の中では、俺が一番年長者なので。父親代わり?」

と首を傾げてみせた。

「倉田さんが父親って苦労しそう…」

美帆ちゃんの一言に、周りから笑いと同意の声が沸き、

「あのなぁ…ま、今日は我慢しといてやる」

はぁ、と短く息をつき、次長に向き直った。

「そうか…お前もそんな立ち位置になったか」

しみじみと頷く次長に、いつものように片方の唇の端を上げて笑って見せると

「どうぞお幸せに」

「お前に言われなくても」

次長も力の抜けたような笑顔を浮かべた。

倉田くんがその場から立ち去ると、比呂子さんと次長、美帆ちゃんが残されて…。

あ、準備しなきゃ!!

自分の役割を思い出して、私はそっとその場を離れると、本棚の裏手のストックルームに向かった。

さて、と。

ワゴンの上にはホールケーキとナイフ。

簡単だけど、ケーキ入刀イベントをするつもりなんだよね。

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