テキストサイズ

sugar-holic

第5章 気に入ったよ

「赴任して暫くしたとき、弁当を買ってたんだよな」

次長の言葉に、倉田くんが、はぁ?と聞き返した。

「買う?」

あ、なんか誤解されてそうな気がする。

「ろくなもの食べてないって話だったから。倒れられたら困るし」

別に売り付けた訳じゃないからね。

そういう意味を込めて話すと

「で…何で金取るんです?」

うっ…。やっぱりそっちで引っ掛かるものがあったか。

「あげるって言うと気兼ねするし、こっちも材料費欲しいし」

「ちゃっかりしてるよな」

次長がクックッと笑いながら、私にビールジョッキを差し出した。

何となく雰囲気で、乾杯!とジョッキを打ち鳴らす。

「ちゃっかりじゃなくて、しっかりなんです」

そういって笑いあってたので、

「へぇ…。平谷次長は、手料理食べたんだ」

倉田くんの呟きに気付かなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ