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sugar-holic

第5章 気に入ったよ

浅野社長と次長がタクシーに乗り込む。

お辞儀をして見送って、頭を上げると、一瞬足元がふらついた。

「わわっ!!」

何とか自力で立て直すと、倉田くんが片方の眉を下げた。

「酔ったんですか?」

「え?ううん。緊張してたのかな?」

酔ったなんて認めるのが格好悪い気がして、思わず虚勢を張ってしまう。

「倉田くんは何で帰るの?電車?バス?タクシー?」

「一緒にタクシーで帰りませんか?」

倉田くんの申し出に、一瞬聞き間違えたかと小首を傾げた。

「はい、帰りますよ」

タクシーを停めて、乗り込む倉田くんに、さっきのが聞き間違えじゃなかったと理解したけど…

何で、一緒に?

「割り勘した方が安いでしょ。早く乗って」

「あ、なるほど」

そんな感じで。

倉田くんと一緒に、タクシーで帰ることになった。

「倉田くんちってどこなの?」

「地名言って分かります?」

うっ…。

土地勘、全くないんだよね…。

「…ごめん、分からないかも…」

「方向は同じですから」

あぁ、もうこれ以上聞けないし!!

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