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sugar-holic

第6章 慰めてあげます《倉田side》

そのまま放っておけなくて、部屋まで送った。

二度目のお宅訪問。

相変わらずモノのない部屋だなぁ。

台所を通りかかり、以前とかわりない状態を見て、思わず眉をひそめる。

本当に料理しないんだな。

休みの日ぐらい、するかと思ったのに。

「水とビールとコーヒーだったら、どれがいい?」

飲み物も三種限定かよ。

「じゃあ、ビールで。あ、缶のままでいいです」

一番無難そうだもんな。

ビールグラスなんてモノが出てくる可能性はゼロだろうし。

マグカップでビール飲むなんて勘弁したくて、缶のまま口にした。

さっきチラッと見た冷蔵庫の中も、単身赴任のオヤジかよって言いたくなるような物しかなかった。

なのに、料理上手?調理師免許?

…おかしくないか?

他愛のない話を振ってみるけど、相変わらずの反応で…。

何なんだろう。

近い距離に居るのに、近寄れないような感覚がする。

俺が知ってるこの人は、本当のこの人じゃない気がして。

壊してみたい。

素を見てみたくなった。

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