テキストサイズ

sugar-holic

第8章 思い出した!!

トイレから出て、手を洗っていると、向かいのドアが開いた。

男性用トイレから出てきたのは、倉田くんだった。

やっぱり。さっき立ち上がったのは、トイレだったか。

「あ、偶然だね」

にっこり笑って声をかけると、唇の端を歪めて返事をされた。

「そうですね」

場所を譲り、鏡越しに倉田くんを見る。

「今日は…彼女とデート?」

「そうです」

手を洗って、ふと顔を上げた倉田くんと、鏡越しに目があった。

「気になります?」

「いや…そんなでもないけど」

「へぇ…」

備え付けのペーパータオルで手を拭くと、私に向き直り

「その割に、聞きたそうな顔してますけど?」

指先で、私の頬をすっと撫でた。

「んっ…」

思わず洩れた自分の声にドキッとする。

やだ。変な声出ちゃった!!

「何か期待してます?」

「しません!!…何だって言うのよ…」

顔をしかめて、倉田くんが触った辺りを手で払う。

「デートなんでしょ!?彼女待ってるんじゃないの!?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ