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NAHEMA

第2章 本章

あれは大学4年の入梅した頃だった。

卒業に必要な単位は全て取り終え、
外資系の大手製薬会社への就職も決まっていた俺は。

単位数も足りなければ就職も未だ決まらぬ友人の変わりに、あるバーでのバイトを始めた。



バーで働くって言ったって、バーテンダーなんてかっこいいものじゃなく、
シェイカーも振れない俺は、もっぱらグラスを洗ったりテーブルを拭いたり、ごみの始末をしたり。
いわゆる雑用係ってやつで。

それでも、バー独特の大人の雰囲気を味わえる上に、人間観察もできるそのバイトは。

様々な話を耳にすることができて、これから製薬会社でMRとして働く上での糧になるだろうと思った。





彼女は。
俺がバイトするそのバーの、常連だった。

いや、常連というには、不定期に訪れる客ではあったのだけれど。

彼女のその美貌と魅惑的な雰囲気は人を惹き付けるのに十分で。

たとえ彼女が1ヶ月ぶりの来店だったとしても、
彼女のことを忘れることなどできるわけもなかった。


それほどまでに、彼女は美しかったのだ。





そんな彼女に、俺は、
当たり前のように、恋をした。


大学で言い寄ってくる女はたくさんいたし、それなりに恋もしたけれど。

俺よりもずっと年上であろう彼女の、
今まで感じたこともない大人の女の魅力に、


俺は、堕ちた。

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